• 株式会社中野建設(福岡県朝倉市)
  • 現場:福岡県嘉麻市
  • 取材:2015年5月

(株)四ヶ所太陽光発電所造成工事現場は、福岡空港の南東、車で約1時間半の山中にある。約30万m2の広大なゴルフ場跡地にメガソーラー(大規模太陽光発電設備)を設置する工事は、第1期がスタートしていた。

D61PXi
D61PXi
PC200i
PC200i

この工区を担当するのが(株)中野建設(代表取締役 中野剛行氏)。伐採済みの土地を平坦にし、砂利を敷き詰めるまでを請け負う。現場ではレンタルのD61PXiとPC200i、自社保有のHB205ハイブリッド油圧ショベルが稼働し、仕上作業に使うローラーも配備されていた。

中野社長によると、工事開始当時はイノシシや鹿が出たという。

「平坦にする」といっても、全体に1〜2度のわずかな傾斜を付け、排水を確保する。この繊細な設計を提案したのは、中野社長自身だ。通常なら10mピッチで丁張りや水糸張りを施し、指示にそってブルドーザーを操作する。それでも、目に見えない傾斜を出すのは不可能だ。「でもICTブルドーザーならできるという自信がありました」と、中野社長は語る。しかも工期は従来より約1カ月短縮できるはず、と予測している。

完成図のデータ化は、コマツレンタル久留米店が担当している。スタッフは現場を囲む法面(斜面)の長さを全てデータ化しPC200iに入力した。オペレーターの疑問や相談に応えるため、コマツレンタルのスタッフが現場に赴くことも多い。

[インタビュー]
株式会社中野建設
代表取締役 中野剛行氏

中野社長は、父親が社長だった当時からブルドーザーを操作してきた同社唯一の熟練オペレーターでもある。その社長は、今、ICT建機の操作を若手社員に任せて、稼働するICTブルドーザーを微笑みながら眺めている。

もう一度乗って熟練の操作を披露したくなりませんか?の問いに、まったくないとの回答。理由を尋ねると「機械の動きを見ていると、自分が乗っている気分になるから」と答えた。

受注工事数が増えるなか、九州においても人手不足は深刻な問題となっている。土木工事につきまといがちな過酷なイメージもあって、若い人は都会のスマートな仕事に惹かれてしまう。建設土木業界に就職しても、なかなか一人前のオペレーターと認めてもらえない現実があった。

若手が活躍する中野建設でも、スマートコンストラクションによる業界のイメージチェンジへの期待は大きい。女性オペレーターが活躍する時代の到来もそう遠くないかも知れない。