代表取締役社長・大橋 徹二

代表取締役社長
大橋 徹二

持続的な成長とイノベーション

コマツは、2016年3月をゴールとする中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide」において、お客さまの現場に新しい価値を創造する「イノベーション」による成長戦略を、重点活動の一つとしています。

コマツではイノベーションの定義を「お客さまの現場により深く関わり、販売代理店やサプライヤーなどのパートナーと協力して、商品・サービスの領域に加え、工事(施工)などお客さまの事業そのものを効率化するソリューションの領域で新しい価値を創造し、お客さまに提供すること」としています。そして、このイノベーションを通じてコマツは事業領域を拡大し、更なる成長を目指しています。

コマツの成長戦略

ダントツ商品

コマツは、安全性、環境対応、ICT、経済性(作業効率)において他社の追従を数年は許さない特長を持つ商品を「ダントツ商品」と名づけています。

「主要コンポーネントの自社開発・自社生産」という強みを活かした技術優位性と、開発・生産・サプライヤーが一体となった商品の作り込みを通じ、業界初のハイブリッド油圧ショベルなどの「ダントツ商品」を世に送りだしてきました。

ダントツサービス

コマツは、車両の稼働情報データを活用して「機械の見える化」を図り、アフターサービスや部品、レンタル、中古車などのバリューチェーンにおいて、車両のライフサイクル(運用)コストを低減するビジネスを強化しています。

2001年、コマツは遠隔地から車両の位置やコンディションを把握できるシステム「KOMTRAX」を標準装備しました。2015年3月末現在、世界で約37.5万台の建設機械に搭載したKOMTRAXに加え、鉱山機械に搭載した「KOMTRAX Plus」から得られる情報を収集・分析し、より効率的に機械を稼働させるメンテナンスや、省燃費運転のご提案、レンタル・中古車事業の強化を図っています。

ダントツソリューション

最新のICTを活用し、土木や鉱山などお客さまの現場施工データを収集・分析し、「見える化」することで、お客さまの現場の課題に対する解決策を提供するビジネスモデルが「ダントツソリューション」です。

コマツは2008年、世界初の鉱山向け「無人ダンプトラック運行システム(AHS)」を実用化しました。無人であるという安全性においてお客さまに新たな価値を提供するとともに、燃料費やメンテナンス費などランニングコストを低減するAHSでは、コマツが車両運行業務の一部を担い、事業領域の拡大を図っています。

建設機械については、作業機の自動制御を実現したICTブルドーザー(2013年)およびICT油圧ショベル(2014年)を市場導入しました。ICT建機はオペレーターの経験を問わず、熟練者のような高い精度の工事を可能にし、丁張り*1や検測*2などの工程を大幅に削減して工期短縮に大きく貢献しています。

このICT建機を活用したソリューションが、2015年2月にスタートした「スマートコンストラクション」です。

  • *1 基礎マウンドや盛土切土を完成させるのに用いる目安の定規。等間隔に並んだ木杭とそれに水平もしくは斜めに打ち付けられた板で構成される。
  • *2 工事の仕上がりが図面通りにできているか確認するための測量。

社会的な課題の解決と持続的な成長

現在、日本の土木・建設現場では、少子高齢化に起因する若年就業者数の低下や、熟練オペレーターの減少などによって、深刻な労働力不足に直面しています。

このような社会構造に起因する問題に対処しつつ、より安全で、生産性、信頼性に優れた工事を、より低コストで実現する。それがコマツが目指す「未来の現場」です。

私たちは、このスマートな「未来の現場」をお客さまとともに作り出し、社会、お客さまとともに持続的な成長をしていくため、「スマートコンストラクション」をまず日本で開始しました。

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イノベーションを実現するために

コマツでは、「お客さまの現場により深く関わり、販売代理店やサプライヤーなどのパートナーと協力して、商品・サービス・ソリューションの領域でお客さまに新しい価値を提供すること」をイノベーションと定義し、実現に向けて挑戦し続けています。

その原動力となるのが、第一に「現場をより深く理解すること」、つまり私たちが自ら積極的にお客さまの現場に入り、工事に携わる人々の声に耳を傾け、直接学ぶことです。現場で得られた施工のノウハウが技術や製品の進化を促し、すぐに現場に反映されるという改善のサイクルを着実に回すことが、お客さまが真に求める価値の創造につながるものと確信しています。

第二の原動力は「ICTを中心とした将来有望な技術を早期に取り込むこと」であり、大学や研究機関、ベンチャー企業などから幅広く知見を募る研究・開発の「オープン化」が重要です。この機能を強化させるべく、2014年4月に「CTO*3室」を設置しました。産学連携や産産連携の強化の一環として、2015年には、自動車の自動運転分野における画像処理、センシング、運転制御などで高い技術力を誇る日本の(株)ZMPに出資しました。また産学連携では東京工業大学と材料、情報通信、計測など多面的な技術分野での連携を締結しました。

お客さまとともに新しい価値を創造し、未来の現場を実現するイノベーションを起こしていくためには、何より私たち自身が進化を速めることが重要だと考えています。

  • *3 CTO(Chief Technology Officer)最高技術責任者