人間の道をつくるなら、 動物の道もつくれ。~ドイツの森が、そう語りかけている気がした。~

人間の道をつくるなら、 動物の道もつくれ。~ドイツの森が、そう語りかけている気がした。~

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ドイツの高速道路「アウトバーン」の建設現場から、動物たちと最新テクノロジーの報告をします。

昨夜の雨に濡れた森は、ドイツの絵本で見るような深い緑色をしていた。早朝の斜めの光の中に、ロールケーキを二つ並べたような橋が見えてきた。通行人は、ウサギ、キツネ、シカ、そして時にはオオカミ。それは、「アニマルブリッジ」と呼ばれる動物のための橋。道路で二つに分かれてしまった森と森をつなぐ架け橋になる。

「ドイツでは、高速道路の計画段階で、周辺の環境調査を行います。生態系を守るために必要と研究者が判断すれば、アニマルブリッジがつくられるのです」。そう言って微笑んだのは、がっしりとした背中の現場マネージャーだ。このエリアでは、8.5㎞の短い区間に、2本のアニマルブリッジがつくられる。豊かな森と動物たちの住み家があることを物語っている。

いまはまだコンクリートむき出しの橋も、やがて緑で覆いつくされる。風が渡り、白や薄紫の小さな花が揺れる。橋の両端には木が植えられる。動物たちの視界に、下の道を走る自動車が入らないための配慮。どうか彼らが、いままでと変わらない生活を送れますように、と願いを込めて。

この橋にも、これから土が運び込まれる。ダンプトラックHM300の仕事だ。土を押し上げ、橋全体に敷き詰めていくのはブルドーザーⅮ65PXi。土と水はけをよくする小石を幾重にも重ねていく。1年後、2年後、草木がしっかりと根を張り、橋は自然の森に近づいていくことだろう。人間だけがつくるのではない。太陽が、雨が、そして時の流れが、アニマルブリッジを育ててくれる。橋のたもとで汗を流す油圧ショベルPC210LCiの黄色い腕にも、力がこもる。

実は、この現場では、新たな試みもはじまっていた。ドイツで初めて、「スマートコンストラクション」がテスト導入されたのだ。「スマートコンストラクション」とは、すべての建設プロセスをデータでつなぎ現場をデジタルトランスフォーメーションしていくこと。たとえば、測量はドローンで行われ、すぐに3Ⅾデータで見える化。建設機械の稼働状況や位置情報をリアルタイムで把握。建設現場が抱える課題を解決していく。この現場でも、油圧ショベルが止まっているムダな時間を分析し、トラックの台数と配置を修正したことで生産性が30%あがったという報告がされた。環境という視点でも可能性を秘めている。たとえば、土の量を精緻に計算し、切土と盛土を一定にすることで、山をムダに削らなくてすむ。

自動車が自動運転の社会を目指し、IoT家電が生活を変えていくように。建設の現場も、大胆に変わらなければならない。デジタルトランスフォーメーションによって、世界の現場を、未来の現場へ。それは、コマツの意思だ。それは、コマツの使命だ。

日本経済新聞 2019年6月17日(月)
読売新聞 2019年6月17日(月)
北國新聞 2019年6月17日(月)
フジサンケイビジネスアイ 2019年6月17日(月)
日刊工業新聞 2019年6月17日(月)

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