対人地雷処理と復興支援(これまでの活動)

建設機械の技術を地雷除去に活かす
― 対人地雷除去への取り組み ―

アフガニンスタンでフィールド試験中のコマツ対人地雷除去機D85MS

対人地雷 ―半永久的に続く「恐怖」

対人地雷は、世界各地で紛争が起きるたびに、大量に埋設されてきました。その多くは平和が訪れたあとも半永久的に爆発力を保ち、日常生活を送る一般市民や野原で遊ぶ子どもたちなど、年間2万人(推定)の被害者を生み出しています。
この悲惨な状況の解決をめざして、1999年に発効したのがオタワ条約です。この条約は対人地雷の使用・貯蔵・生産・移譲などを全面禁止するもので、日本を含む150カ国以上が署名しました。対人地雷廃絶の機運は、今や日本を含む世界に広がっているのです。
手作業で対人地雷を探知し、細心の注意を払って取り除くのには、途方もない時間がかかります。たとえば、内戦当時600万発の対人地雷が埋設されたといわれるカンボジアでは、その後15年でわずか約35万発を処理したのにすぎません(1992~2006年、出典:Cambodia Mine Action Center)。地雷撲滅にはなお240年以上かかる計算です。しかも目の前の地雷を手作業で掘り出す、危険きわまりない作業がその日まで続くのです。
一方、機械を使えば事故の危険性を最小限に抑えながら、大幅に作業スピードを速めることが可能です。この「機械」、つまり地雷除去機は、地面を掻いたり叩いたりすることによって地表近くに埋められた地雷を破砕・爆発させるもので、多くの場合、建設機械の車体やアタッチメントにきわめて近い構造・機能をしています。
効率的で安全性の高い対人地雷除去機を開発することは、建設機械メーカーならではの専門技術や、モノ作りに関する知恵が最大限に活用できる「社会貢献の場」といえるでしょう。

(左)対人地雷が発見されました。20年近く前に埋設されたものですが、その多くがいまだ爆発力を保っています(カンボジア)。
(右)現地NGOの方々による、このうえなく危険な除去作業が続いています(アフガニスタン)。

コマツの地雷除去への参画

コマツは1998年より、地雷処理の前作業を行う潅木除去機の開発を手がけてきました。2002年に政府が対人地雷除去機の輸出を認め、2003年に経済産業省と独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募したプロジェクトに参加することで、本格的に地雷除去機の開発に着手。同年12月に試作機が完成しました。
コマツの地雷除去機のベースには、車体重量約27tのブルドーザーを採用しています。高い信頼性・耐久性に加え、岩だらけの土地や湿地、傾斜地もスピーディに走破できる能力を備え、広い面積も効果的に処理できます。交換部品の手配も容易なうえ、車両前方のアタッチメントを交換すればブルドーザーとして整地作業に使うことも可能で、将来の道路工事などにも活用できます。また同機には、災害復旧地域などで実用化している建機リモートコントロール技術を導入しました。遠隔操作によって、作業者の安全性を一層高めることができます。
日本には地雷原が存在しないため、除去機の性能実証実験は海外の地雷原での作業となります。2004年から、コマツはアフガニスタンで開発機の性能を徹底的に検証しました。
国土の約8割を、砂漠がちの山岳地帯が占めるアフガニスタン。その全土には、長い紛争の間に約1,000万発の対人地雷が埋設されたと推定されています。しかも地雷原には対人地雷だけではなく、車両を破壊するための大型地雷が混在しています。地雷除去機はその爆発にも耐えて乗員を守り、安全に地雷原から脱出できなくてはなりません。車両の機能性、信頼性を確かめるテストを、遠隔操作を併用しながら慎重に続けました。
2006年からは、カンボジアでのフィールドテストを開始しました。アフガニスタンにはない泥地や灌木地帯で、処理能力を検証するのが目的です。実験の結果、コマツの対人地雷除去機は1時間あたり平均500m2の処理能力を達成しました。これは手作業の25~50倍以上の処理速度に相当します(作業条件により異なります)。対人地雷除去機を2~3日間稼働させれば、1haの安全な土地が誕生します。その土地を畑にすることで、カンボジアでは2~3家族が生計を立てられるのです。

(左)コマツの対人地雷除去機はツメのついたローラー(カッター)を回転させ、地中の対人地雷を破砕・爆砕します。広い面積を移動しながら灌木や雑草を破砕し、あたかも畑のような土地に変えていきます(2006年、カンボジアにて)。
(右)無線操作の訓練(カンボジア)。作業者は防護楯の陰から操作します。

1号機の実用

安全で効率的な地雷除去作業には、車両の開発に加えて、現地オペレーターの技術指導が不可欠です。2004年春、コマツはアフガニスタンで活動する地雷除去NGOの方々を初めて日本に招き、技術指導を行いました。1台の対人地雷除去機を中心に、人と人との交流が広がりつつあります。そして、復興の道を歩む国々を知り、それを懸命に支える地元の方々とふれ合う中で、コマツの中にもそうした地域をもっと支援しようという、新たな意識が生まれつつあります。
徹底的に性能と信頼性を検証し、完成した対人地雷除去機は、2007年8月、日本政府のODA拠出に基づいてアフガニスタンのNGOに引き渡され、9月より現地での本格的地雷除去作業に使用されています。

(左)2007年5月、アフガニスタンで地雷除去に携わる方々を招き、研修を行いました。現地では、国連傘下で数多くのNGOの皆さんが地雷除去プログラムに参加しています。
(右)2007年、第1号機がアフガニスタンのNGOに引き渡され、9月より現地での本格的地雷除去作業に使用されています。

JMASと共にさらなる活動へ

契約締結時のコマツ代表取締役社長 野路國夫(左)とJMAS理事長 野中光男氏

2008年1月、コマツはNPO法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」と、対人地雷除去に関する提携を発表しました。JMASは、自衛隊OBを主体とした技術と実績を備えたNPO法人で、2002年より、地雷処理、不発弾処理をはじめ、井戸掘りや各種啓蒙活動を行っており、カンボジア、ラオス、アフガニスタン各政府機関と協同して技術・人材を援助するなど、精力的な活動を行っている団体です。コマツが持つ地雷除去機の技術と、JMASが保有する経験やノウハウを融合することで、被害地域のより迅速な復興が可能となり、有益な貢献活動が提供できるものと考えています。
今回の契約締結に伴い、2008年5月より、カンボジア バッタンバン州において、最初の地域復興プロジェクトを開始しました。プロジェクトでは、JMASに無償貸与する地雷除去機により速やかな処理作業を実施し、その後の安全な土地での農地開発をはじめ、井戸建設、学校建設、道路や橋の補修・建設などコミュニティの再生・復興事業までを行う計画です。プロジェクトを進めるに当たっては、地雷除去機以外にも各種の工事に使用する建設機械の無償貸与に加え、5,000万円の経費、カンボジアまでの輸送にかかる費用、また機械の補給部品についても、コマツが負担します。また、次のプロジェクトとしてアフリカ地域での復興支援活動を検討しています。
コマツは、この地雷処理から始まるコミュニティ再生事業を社会貢献活動の柱のひとつと位置づけ、継続していくとともに、賛同頂ける他企業やNGOをはじめ、政府、国際機関、地元の皆様と連携し、更に活動の輪を広げていきたいと考えています。

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