対人地雷処理と復興支援(これまでの活動)

「カンボジア 安全な村づくりプロジェクト」
対人地雷除去機の技術を活かしたコマツの社会貢献活動

コマツは2008 年1 月から、認定NPO 法人「日本地雷処理を支援する会(以下、JMAS)」が実施する、対人地雷の被害で苦しむ地域における地雷処理作業ならびに復興までのコミュニティ開発事業のプロジェクトを支援しています。2009 年3 月、JMASとの初めての取り組みであるカンボジアのバッタンバン州での「安全な村づくりプロジェクト」が完了しました。

2008年にスタートしたプロジェクト

CMAC のスタッフに対する対人地雷除去機の整備実習。一挙手一投足のデモンストレーションをしてから、実際の作業をやってもらいます。

カンボジア・バッタンバン州リャースメイサンハー村には73 家族、300 名が住んでいます。道路以外はすべて地雷原です。地雷原とわかっていても、古くから住みなれた土地を離れたくないため、主にトウモロコシを育てて生計を立てている方々もいます。この村を取り囲む約41ha の広大な土地に埋められている地雷を、コマツが開発した対人地雷除去機と人力作業を組み合わせて除去し、安全な村を復興させるためのプロジェクトが、2008年7 月に始まりました。
プロジェクトを進めるにあたっては、JMAS からプロジェクトリーダーとスタッフが駐在し、人力による地雷除去の実績を持つCMAC(カンボジア地雷除去センター)のスタッフ約35 名と連携して臨みました。コマツは対人地雷除去機と、掘削や整地のための油圧ショベルやブルドーザーなどを無償貸与。活動費を寄付しました。さらに、プロダクトサポートとして、JMAS やCMACに対するメンテナンスや操縦方法のトレーニングを実施しました。
当プロジェクトは、発足以来8 カ月の間に対人地雷を機械で49 個、人力で62 個除去しました。地雷を除去した跡地は農地に転用され、水を確保するため10 カ所の農業用池の構築や、農地に沿った道路を新設・補修することにより、村内と隣村へのアクセスを改善。さらに、豪雨による道路への浸水に対応するために既存の溜池に配管を設置するなどの灌漑工事を行い、村の象徴である小学校を新築しました。

「地雷処理法」マニュアルの確立

地雷除去から住民生活に必要なインフラ整備事業など、機械化による「安全な村づくり」を実現させる今回のようなプロジェクトは、JMAS もコマツも初めての試みでした。安全かつ効率的な地雷除去とインフラ整備を実施するためには、作業工程とその管理はきわめて重要です。対人地雷除去機だけでなく、建設機械による危険な作業がともなうため、作業員や住民の安全確保を優先しました。作業を進める過程において、環境や住民の要望への配慮も必要です。この地域は雨季にあたると作業ができないほど雨量が多いことから、その時期を避けるような計画を立てました。また、地雷原では住民の生活を担っているトウモロコシが栽培されるため、トウモロコシの刈り取り時期まで地雷除去作業を開始することはできません。
地域特有の事情を考慮して作業を進めた結果、「地雷処理法」という実践に基づく工程管理のモデルケースができ上がりました。地雷除去と除去後のインフラ整備を安全かつ効率的に実施するための工程管理手法や、地形や気象の特性に応じた対人地雷除去機の操作と整備要領などを織り込み、別の地域で活用可能なマニュアルをJMAS が確立しました。

(左)地雷原に囲まれた地雷除去前の小学校。除去後に、グラウンド整備、新校舎の建設を行いました。
(右)新校舎は基礎が高くコンクリートなので、雨季でも子どもたちは安心して勉強できます。

村の方々による協力

プロジェクトを開始した当初、村民の反応は少なく、協力も最小限のものでした。地雷処理や土木工事は危険で過酷な肉体労働なので、村長も村民の雇用に難色を示しました。しかし、交流が進むにつれ、村民は子どもたちの教育、日常生活に影響をおよぼす学校や道路の整備が重要だと強く意識していることがわかりました。最初は子どもたちがゴミ拾いなどプロジェクトの手伝いをはじめ、その父兄が自主的に学校の柵づくりを行い、そして村民がインフラ整備の作業に協力してくれるようになりました。時間をかけながらも、道路などの維持管理はこれから自分たちが実施しなければならない、という意識が芽生えています。

対人地雷除去機による地雷撤去作業。その後、トウモロコシの生い茂る農地に生まれ変わりました。

村の活性化

地雷除去された学校建設前の土地で遊ぶ子供たち。以前は学校からわずか10m付近に地雷が発見されました。縄跳びを持つのはJMASプロジェクトリーダー出田孝二氏(左端)。
地雷除去後、人や物が集まるリャースメイサンハー村の中心となった市場。

復興が進むにともない、村内の人と車両の流れに大きな変化が見られました。小学校が建設されたことにより、その前の広場が村民の集会場となりました。道路が整備されたことにより、小学校に通う児童が増え、輸送トラックの進入が可能となり、トウモロコシの集積場もできました。近隣住民の往来も増え、雑貨店舗が増築され、常時住民の姿が見られるようになりました。

これからの展開

プロジェクト完了を記念して行われた式典には、坂根正弘会長(当時)も参加しました。

今回のプロジェクトは、対人地雷除去機と建設機械による土木工事という危険な作業を、1 件の事故もなく終了することができました。このことは、村民に安心を、CMAC 隊員に高いモチベーションを与えました。この事業モデルで得た経験とノウハウを、JMAS が現在進めているアンゴラプロジェクトと、2009 年初夏に開始された、カンボジア・バッタンバン州のキロ村での復興プロジェクトにも水平展開しています。

コマツは、地雷の被害にあい復興が止まっている地域を一つでも安全にして、その地域が発展するための一助になることをめざすための支援を継続していきます。

コマツの対人地雷除去による社会貢献のあゆみ

1999年3月

オタワ条約発効(対人地雷の使用・貯蔵・生産・移籍など全面禁止)

2002年8月

日本政府が、対人地雷除去機を武器輸出三原則等の例外とすることを表明

2003年3月

経済産業省とNEDOの助成金事業の公募に応募し、対人地雷除去機の開発に着手

2004年~
2006年

外務省の支援を受けてアフガニスタン、カンボジアで現地テスト実施

2007年7月

アフガニスタンに1号機納入(日本政府のODA拠出に基づきNGOに引渡し)

2008年1月

認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」と契約締結

2008年3月

カンボジアに2号機納入(日本政府の研修支援無償で現地導入)

2008年6月

カンボジア(バッタンバン州リャースメイサンハー村)プロジェクトに3号機納入(本サイト内容)

2008年10月

アンゴラ(ベンゴ州マブバス村)プロジェクトに4号機納入

2009年初夏

カンボジア(バッタンバン州キロ村)プロジェクト開始

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