ステークホルダーの皆さまへ:CEOメッセージ

代表取締役社長(兼) CEO 大橋 徹二
代表取締役社長(兼) CEO 大橋 徹二

ステークホルダーの皆さまには、日頃よりご理解とご支援をいただき、厚く御礼申しあげます。

2017年度(2017年4月1日から2018年3月31日まで)のコマツの連結業績は、建設機械・車両分野における北米・中国・アジアなどでの売上増に加え、2017年に買収した「ジョイ・グローバル社(現:コマツマイニング(株))」の新規連結効果もあり、売上高は前期比38.7%増収の2兆5,011億円、営業利益は56.0%増益の2,715億円となりました。

2018年度は、3カ年にわたる中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide -Growth Toward Our 100th Anniversary (2021) and Beyond-」の最終年度となります。引き続き、その3つの経営戦略である「イノベーションによる成長戦略」「既存事業の成長戦略」「土台強化のための構造改革」に着実に取り組んでまいります。

長期的、持続的な成長のために

2021年、コマツは創立100周年を迎えます。

1921年に、石川県小松市で創立したコマツは、品質と信頼性を追求し、日本国籍のグローバル企業に成長してきました。100周年を通過点として、さらに将来に向けて持続的に成長していくためには、過去に学びつつ、これまで以上に長期的な視野で経営の方向性を模索していく必要があります。

新興国においては、人口の増加や都市化の進展に伴い、道路や鉄道、上下水道などの拡充が見込まれます。先進国では、老朽化したインフラの整備が急がれる一方、労働力不足が深刻度を増しています。気候変動をはじめとする環境負荷の低減も、ますます重大な社会課題となっています。

社会資本の拡充に欠かせない建設・鉱山機械のビジネスは長期的に成長産業と考えられますが、我々がこのコアビジネスで「長期的・持続的な成長」を模索する上では、お客さまはもとより我々を取り巻く社会の課題や要請に高い水準で応える、これまでにない価値を備えた商品・サービス・ソリューションの提供を通じて、企業の財務的な発展を実現できるシナリオが必要になっています。

SLQDC

社会課題のなかでも最優先すべきものに安全があります。

コマツグループにおいても安全は最優先課題です。私は社長就任以前から、「SLQDCの順番で物事を考える」と言い続けてきました。これは我々の生産現場やサプライヤー、代理店など事業活動の全てにおいて以下(1)~(5)の順に優先課題とする、という意味です。

  • (1) Safety:職場や家庭における安全や心身の健康
  • (2) Law:各地域における環境規制や法律、ビジネスルールの遵守(コンプライアンス)
  • (3) Quality:商品、サービス、ソリューションにおける品質と信頼性の維持向上
  • (4) Delivery:適切な納期の設定と遵守
  • (5) Cost:コストの把握ならびに継続的改善による管理

お客さまとの対話においても、災害ゼロに対するお客さまの強い意思を改めて感じます。現場作業の安全は、それぞれの企業が実現すべき価値であると同時に、事業活動を通じてお客さまに優先して提供すべき社会共通の価値であるといえます。

対話を通じた顧客価値創造活動

我々が「顧客価値創造」と呼んでいる活動では、我々がお客さまの現場に入り、お客さまとの建設的な対話を通じて現場の「将来あるべき姿」や「真の課題」を見定め、商品・サービス・ソリューションなど社内のリソースをフル活用して、お客さまとともに課題の解決に取り組んでいきます。

例えば無人ダンプトラックや、スマートコンストラクションなど、ICT(IoT)を駆使すると現場の情報が可視化されます。それらデータについてお客さまと対話を図り、「なぜ」を突き詰めて考えるなかで、お客さまが長期的に目指す理想状態(将来あるべき姿)と、現状との差にある「真の課題」――安全(災害ゼロ)や生産性・効率性はもとより、労働力不足、環境保全、生物多様性の維持、地域社会との共生、ダイバーシティの向上など、お客さまの現場に潜む本質的な課題――が顕在化します。こうした課題に優先順位をつけ、お客さまとともに解決を目指していきます。

お客さまと議論を深め、「真の課題」に対する改善を積み重ねていくことを通じて、社会課題の解決と顧客価値をスパイラルアップしていくことが可能なのではないかと考えています。

経営の基本

コマツの経営の基本は、「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化することです。そしてその「企業価値」とは、私たちをとりまく社会と全てのステークホルダーからの信頼度の総和であると考えています。全社員が「コマツウェイ」を共有し、環境・社会・ガバナンスをこれまで以上に強く意識し、業績の向上、企業体質の更なる改善および社会的使命の達成をバランスよく実現してまいります。

皆さまには、引き続き変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

2018年7月
代表取締役社長(兼) CEO 大橋 徹二

Face to Face:CEOインタビュー

代表取締役社長(兼) CEO 大橋 徹二
代表取締役社長(兼) CEO 大橋 徹二

2017年度業績ハイライト

2017年度(2017年4月1日から2018年3月31日まで)の連結売上高は、2017年4月に買収した米国の大手鉱山機械メーカーであるジョイ・グローバル社(現 コマツマイニング(株)。以下、「コマツマイニング」)の新規連結の効果もあり、2兆5,011億円(前年度比38.7%増)となりました。利益につきましては、営業利益は2,715億円(前年度比56.0%増)、売上高営業利益率は前年度に比べ1.2ポイント上回る10.9%となりました。税引前当期純利益は2,918億円(前年度比75.3%増)、当社株主に帰属する当期純利益は1,964億円(前年度比73.2%増)となりました。

[建設機械・車両部門]

建設機械・車両部門では、中国やインドネシアをはじめ多くの地域で需要を着実に取り込んだことに加え、コマツマイニングの新規連結の効果もあり、売上高は2兆2,809億円(前年度比44.7%増)となりました。セグメント利益は、ジョイ・グローバル社の買収に係る一時費用が発生したものの、各地で売上高が増加したことにより、2,759億円(前年度比70.7%増)となりました。

[リテールファイナンス部門]

リテールファイナンス部門では、北米での資産の増加などに伴い、売上高は603億円(前年度比22.8%増)となりました。

セグメント利益は、中国での引当金計上の影響がなくなったことなどに伴い、129億円(前年度比191.1%増)となりました。

[産業機械他部門]

産業機械他部門では、自動車業界向けの工作機械の販売増加などがあった一方、鍛圧機械やワイヤーソーおよび防衛省向け製品の販売減少などがあったことにより、売上高は1,854億円(前年度比2.9%減)となりました。またセグメント利益は144億円(前年度比16.0%増)となりました。

主な経営指標の推移

連結売上高

連結売上高

営業利益/売上高営業利益率

営業利益/売上高営業利益率

当社株主に帰属する当期純利益/ROE

当社株主に帰属する当期純利益/ROE

株主資本/株主資本比率

株主資本/株主資本比率

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フロー

一株当たり配当金

一株当たり配当金

5年間の要約財務データ

株式会社小松製作所及び連結子会社 単位:百万円(1株当たりの金額を除く)
2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度
事業年度
売上高 ¥2,501,107 ¥1,802,989 ¥1,854,964 ¥1,978,676 ¥1,953,657
売上原価 1,765,832 1,286,424 1,315,773 1,401,193 1,393,048
営業利益 271,581 174,097 208,577 242,062 240,495
売上高営業利益率 10.9% 9.7% 11.2% 12.2% 12.3%
税引前当期純利益 291,807 166,469 204,881 236,074 242,056
当社株主に帰属する当期純利益 196,410 113,381 137,426 154,009 159,518
設備投資額 145,668 142,006 160,051 192,724 179,070
事業年度末現在
総資産 ¥3,372,538 ¥2,656,482 ¥2,614,654 ¥2,798,407 ¥2,651,556
運転資本 807,930 719,339 685,559 716,524 701,201
有形固定資産 740,528 679,027 697,742 743,919 667,347
長期債務-1年以内期限到来分控除後 480,698 190,859 212,636 279,270 311,067
株主資本 1,664,540 1,576,674 1,517,414 1,528,966 1,376,391
株主資本比率 49.4% 59.4% 58.0% 54.6% 51.9%
1株当たり情報
1株当たり当社株主に帰属する
当期純利益:基本的
¥    208.25 ¥    120.26 ¥    145.80 ¥    162.07 ¥    167.36
:希薄化後 207.97 120.10 145.61 161.86 167.18
1株当たり配当金* 84 58 58 58 53
1株当たり株主資本 1,764.58 1,672.01 1,609.69 1,622.48 1,443.97
* 1株当たり配当金は各事業年度に支払われた配当金です。

建設機械・車両部門の地域別概況

地域別売上高の状況(外部顧客向け売上高)

日本

レンタル業界向けを中心にした新排出ガス規制実施前の需要増により、売上げは前年度を上回りました。

米州

米国およびカナダでは、インフラおよびエネルギー関連向けを中心に一般建機の需要が増加しました。

また、中南米においては、アルゼンチンやメキシコを中心に一般建機の需要が増加しました。さらに、コマツマイニング(株)の新規連結の効果もあり、米州での売上げは前年度を大幅に上回りました。

欧州・CIS

欧州では、主要市場であるドイツや北欧を中心に需要が堅調であり、売上げは前年度を大幅に上回りました。

CISでは、石炭や金鉱山を中心に鉱山向け需要が引き続き好調であり、売上げは前年度を大幅に上回りました。

中国

全国的にインフラ工事が進行し、一般建機の需要が引き続き伸長したことから、売上げは前年度を大幅に上回りました。

アジア・オセアニア

アジアでは、石炭価格の上昇に伴い、最大市場であるインドネシアで鉱山機械の需要が増加したことなどから、売上げは前年度を大幅に上回りました。

オセアニアでは、鉱山機械の需要が増加したことなどに加え、コマツマイニング(株)の新規連結の効果もあり、売上げは前年度を大幅に上回りました。

中近東・アフリカ

中近東では、原油安を受けた各国政府の緊縮財政の影響はあったものの、一部地域での需要が回復傾向にあることなどにより、売上げは前年度を上回りました。

アフリカでは、南アフリカでの鉱山向け需要が増加したことなどに加え、コマツマイニング(株)の新規連結の効果もあり、売上げは前年度を大幅に上回りました。

環境指標

生産におけるCO<sub>2</sub>削減活動
生産におけるCO<sub>2</sub>削減活動
廃棄物発生量
廃棄物発生量
電力購入量
水の使用量

コーポレート・インフォメーション

(2018年3月31日現在)

会社概要

商号 株式会社 小松製作所(呼称:コマツ)
本社 〒107-8414 東京都港区赤坂二丁目3番6号
設立年月日 1921年(大正10年)5月13日
資本金 連結 67,870 百万円(米国会計基準による)
単独 70,120 百万円 
従業員数 連結 59,632 名(当社と連結子会社227社の人員)
単独 10,465 名(出向者を除く)

株式関連情報

発行済株式数 971,967,660株(自己株式28,190千株を除く)
株主数 149,459名
単元株式数 100株
証券コード 6301(日本)
上場証券取引所 東京
株主名簿管理人・特別口座の口座管理機関 三菱UFJ信託銀行株式会社
 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
(同連絡先) 三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
 東京都府中市日鋼町1-1
郵送先 〒137-8081 新東京郵便局私書箱第29号
電 話 0120-232-711(通話料無料)
米国預託証券(ADR)の名義書換・預託代理人 The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street, New York, NY 10286, U.S.A.
Tel: +1-(201)-680-6825 for international calls 888-269-2377 (888-BNY-ADRS) for calls within U.S.A
URL: http://www.adrbnymellon.com
ティッカーシンボル: KMTUY

主要株主の状況

株主名 持株数(千株) 出資比率(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 62,612 6.63
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 62,405 6.61
太陽生命保険株式会社 34,000 3.60
JP MORGAN CHASE BANK 380055
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)
33,514 3.55
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
20,339 2.15
日本生命保険相互会社
(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
18,638 1.97
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5) 18,451 1.95
株式会社三井住友銀行 17,835 1.88
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口7) 17,183 1.82
STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)
17,029 1.80
  • (注)1. 持株比率は、自己株式を控除して計算しています。
  •    2. 当社は、自己株式28,190千株を保有していますが、上記大株主から除外しています。

株主構成(自己株式を含む)

株主構成

東京証券取引所における株価チャート