スウェーデンの森は、IoTの森だった。

スウェーデンの森は、IoTの森だった。

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林業が、先進ビジネスになっていた。
日本へのヒントがあると思った。

「1本切ったら、2本植える。スウェーデンの森のルールです」。森のオーナーの言葉に、スウェーデンという国の「意思」を感じた。べーナムという小さな町。夏の初めの空は、この国の国旗のブルーより濃く、樹齢500年を超すブナの葉が、風に悠然と揺れている。日本のように高い山や深い谷の地形ではない。草原がそのまま深い森につづいていた。

森を守りながら、林業というビジネスも成長させていく。この国の林業は、極めて計画的だ。どの樹種の、どの太さの、どの長さの丸太が、需要があるのか。そのために、どのエリアの、どの木を切り、どれだけの丸太を生産すれば、ムダな伐採をすることなく売上げを増やせるのか。見える化された地形データ、木材の価格データ、それに森のオーナーの経験を加味して判断された伐採計画が、コマツのクラウド・ネットワークに入力される。朝、8時。コックピットに座ったオペレーターは、データにアクセスし伐採計画を確認すると、GPSのルート案内に従って、現場へ向かう。そこにあったのは、ただ美しいだけの森ではなかった。木と人と機械と市場がデータでつながった森だった。

屈強な森の男を思わせる赤い手が、木の幹を掴んだ。ハーベスター(収穫する者)と呼ばれるマシンだ。高さ20m、直径40cmほどのブナが静かに倒れる。オペレーターは、左右のレバーと20ほどもあるボタンを駆使し、マシンを自在に操っていく。その姿は、映画に登場する巨大なロボットと操縦士のようにさえ見える。マシンの手は、枝打ちと玉切りを瞬時に行い、決められた長さ・太さの丸太を次々に生みだしていく(その早業は、ぜひ映像でご覧いただきたい)。位置情報、丸太の長さ、太さをセンサーが読み取り、データが自動送信される。フォワーダーという運搬車が、現場に到着した。受信した丸太の位置を把握し、荷台に積んでいく。

スウェーデンにも、かつて伐採により森が衰退した時期があった。この国は、ルールを変えたのだ。1本切ったら、2本植える。嵐など自然の力で倒れた木は、鳥や昆虫たちにありのままの森を遺すために、手をつけない。この森で30年働いている男が、教えてくれた。「知恵と工夫で森は育てられる、と私たちは信じています。私の30年でも、この森は育ちました」。森と人と機械をデータでつなぐスマート林業。コマツのテクノロジーも、知恵と工夫のひとつなのだ。

森を愛する人たちは、知っている。人は、森からたくさんのものをもらって生きていることを。スウェーデンの森林資源は、100年前の2倍弱に増えたという。

日本経済新聞 2018年6月13日(水)
読売新聞 2018年6月13日(水)
北國新聞 2018年6月13日(水)
フジサンケイビジネスアイ 2018年6月13日(水)
日刊工業新聞 2018年6月13日(水)

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